女子学生就職戦線波高し (April 4, 1997)
4月は新入社員の月である。オフィス街にも着慣れないスーツに身を包んだフレッシュパーソン(マンではpolitically correctではないのだ。)の姿が見受けられる..と、思っていたら今年の大学4年生の就職活動であった。
お決まりの透明の書類ケースを小脇にかかえ、濃紺のスーツとなんとなくおさまりの悪いシャツと革靴でキョロキョロしているのは間違えなくリクルート活動の学生だ。
たまたま大学時代のサークルの女性の後輩と話をする機会があったのだが、今年も相変らず採用状況は厳しいらしい。いわゆる総合職での採用には不文律の女性採用枠があり、優秀な女子学生同士の競争となってしまうということだ。
「日本の金融機関なんかに就職するとロクなことはないから、キャリアを追及したいと思うのならば外資系金融機関の門戸を叩いてみなさい」と現実を直視してアドバイスしている自分が情けないかぎりである。
個人的には馬鹿な男子学生を採用するよりも、成績が優秀で、語学も堪能なやる気にあふれる女子学生を採用するほうがよっぽど企業にとって価値のあることだと思うのだが。ホモおやじの集団の日本の大企業では彼女らのような優秀な人材をmanageできないからというのもplausibleな議論かも知れない。
男女雇用機会均等法の存在を考えれば、こういった女子学生の就職難はとんでもない話である。日本の大企業の倫理観の無さがまる見えである。自分達の都合さえ良ければ法律なんて屁とも思わない日本の大企業は暴力団と一緒である。
財界団体は「企業倫理」の確立をお題目にしているが、暴力団が「私達はちゃんとした市民です」と言っているのと同じようで、見るに耐えない状況である。そんなお題目を唱える閑があったら、お仲間の総会屋に利益供与をしたとい疑惑がある野村證券やら味の素を企業団体から永久追放にするぐらいのことはしてみなさいと、言いたいものだ。どうせ自分達の手も真黒なので、いつか同じ目に会うと怖いと思って、そういうドラスティックな対応ができないに違いない。全く財界団体なんて暴力団の寄り合いみたいなもんだ。
倫理観もなく、時代錯誤の偏見に満ちた大企業なんぞに就職するのはやめて、もっとしなやかで、人口の半分を占める女性労働力の重要性を十二分に理解している企業を探しだして、女子学生の皆さんには就職してもらいたいと思う。その方が自分の能力を発揮する機会には恵まれるであろう。
かならずそういった企業が競争に勝ち残り、時代錯誤の大企業は恐竜が死滅したようにその姿を消していくはずだから。
まあ男の私がこういった事を言っても戯言なのかも知れないが。優秀な女性にもっともっと仕事をしてもらう社会体制ができなければ、世の中うまく回っていかないと信じる私である。