19970422 of Yasushi's Life


経営者の責任 (April 22, 1997)

今日はやっぱり野村證券の代表権を持つ役員退任の話だろう。

すでにマスコミで騒ぎ尽くされている観もあるが、今回の総会屋へ利益供与疑惑は日本企業の経営陣の自浄力のなさ、ならびに日本の大企業経営に関する制度的な弱さを如実に示した事件であると私は考えている。

15人にも及ぶ退任を高く評価する声があるが、私は全く不十分な事であると考える。まず取締役という名前がついた者は全員退任すべきであろう。株主から経営を委託される立場にあった取締役が、企業ぐるみか否かは未だ結論が出ていないとは言え、異なった担当業務を持つ常務2名が加担した総会屋への利益供与疑惑を招く行為には関連していなかったというだけの理由で引き続き取締役に残ることは株主に対する大いなる背信行為である。少なくともかかる事態の発生を知りえなかった、あるいは阻止しえなかったという事のみをとっても会社の全経営を司るべき立場にいる取締役全員が十分な経営能力を有しておらず、経営を委託した株主に対する責任を全うしえなかった事は明白である。当然に全取締役が一旦退任した上で、株主に信を問うべきであろう。

更に野村證券に対してはカルパースが社外取締役の選任を要求していたにも係わらず、終身雇用制のご褒美としての従業員からの取締役選任方針を変えずに、これだけの大問題を引き起こしたわけである。1度の過ちは許されるとしても、2度目の過ちは絶対に許されるべきではない。従って、新たに選任される取締役には過半数を越える社外取締役を受け入れるべきであろう。従業員から勤めあげて取締役となった者たちの自浄能力が欠如している事が明白となった以上、そういった者達を牽制する存在が必要となってくる。さもなくば、2度あることは3度あるという事になってしまう。業務執行役と取締役の分離、いまだ日本では導入されていないコンセプトであるが、是非この導入を検討してもらいたいものだ。

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