カタギの暮らし (August 15, 1997)
今までの暑さがまるでうその様に昨日、今日と涼しい。東京もお盆休みの帰省ラッシュのせいか町がのんびりしているようだ。取り引き先も休みが多いし、オフィスでも夏休みをとっている人が多く、仕事自体ものんびりムードである。
そんな訳で、珍しく5時半過ぎにはオフィスを後にして家路についた。
のんびりと日本橋丸善に立ち寄り本をながめてた。法律関係の本を見ているとアメリカのローンのワークアウトやら破産に関する本が出版されていることに気が付く。内容を見るとそれほど大した事も書いておらず、おもわず「おれもこの類の本を一発書いてみるかなぁ」などと思ってしまう。気を取り直して、ニュージーランドの行政改革の本とインフォメーションウォーの本を購入する。
まだ6時半前なので、丸善の向かい側にある高島屋に立ち寄り、ネクタイ、カフスボタン、サスペンダーをながめるが、今一つインパクトがあるものが見つからなかった。どうもネクタイに関しては世間の水準を遠くはなれてしまっているようで「おおおおこれは!!」と思えるようなネクタイになかなか出会わない。この間は三越ですいか柄とレモン柄のネクタイを購入したので、この夏は果物柄で攻めてみようと思ったりしているのだ。唯一ビジネスウェアで楽しむことができるネクタイとワイシャツ、それからディーテール物のカフス、サスペンダーについてはおしゃれするのである。
その後地下へ降りていき、食品街で今晩の夕ご飯を買い込む。今夜のおかずは「竹の子の煮物」「こんにゃくの唐辛子煮」「シーフードサラダ」となった。夕方時のデパートの食品街はざわざわしていて、大好きだ。普段はこの時間はオフィスでパソコンに向かって四苦八苦している時間だと思うと何だか気持ちが豊かになる。
高島屋から日本橋の駅に向かい、電車に乗り込んで家へと向かう。電車もすっかり空いていて、さっき買ったニュージランドの行政改革の本をドアに寄りかかりながら読みはじめた。半分ほど読んだところで自宅の最寄り駅に到着だ。ふと時計を見ると、まだ7時をちょっと過ぎたところ。家についたら、買い込んできたおかずで夕食を済まし、食後に朝出勤前に冷蔵庫に用意してあった水出しの紅茶を取り出し、さっき半分ほど読みかけたニュージランドの本を読んでしまう。これなら寝るまでにもう1冊のインフォメーションウォーの本も読んでしまえそうだ。
ふと、今日の仕事後の時間を振り返って、「これがカタギの暮らし」なんだろうなと思ってしまう。
毎晩遅くまで仕事をして、夜中には国際電話をし、仕事のメールの返事を寝る前に書き込み、疾走するように暮らし、心と体をすり減らす日々はどんな意味があるのだろうかと自分に問い掛けてみたが、答えはすぐには出せなかった。