199700805 of Yasushi's Life


電脳法廷 (August 5, 1997)

伊藤師匠のダイアリーで私の送ったメールが紹介されていたので、アメリカの法廷のデジタル化についてすこし紹介してみたい。

アメリカの法曹関係者はとてもコンピューター好きのようだ。というか、コンピューターがないと彼らの仕事はなりたたない状況になってきている。

Discoveryと呼ばれる裁判の証拠調べでは段ボール数十箱からひどい時にはそこそこの会議室一杯になる位の証拠がやり取りされる。その全てに番号を付けて、内容をまとめ、裁判手続きの中で自分の側にとって有利な証拠なのか、不利な証拠なのかを見極め、法廷に提出される自分の主張を組み立てる仕事が法廷弁護士には要求される。

こういった莫大な量のデータを扱うのはコンピューターの得意な仕事である。証拠のデータベースを作って、データをCD-ROMに焼き付けて法廷にラップトップパソコンを持込み、相手側の主張のキーワードを検索し、その場で証拠に基づいて反論できるような準備を整える。

また、アメリカの裁判は陪審制度を採用しているので、判決の行く末を決定するのは普通の人から選ばれた陪審に委ねられる。そのため法廷弁護士は裁判の内容を極力わかりやすく陪審員に説明するためにプレゼンテーションソフトを駆使することになる。パワーポイントなんてものは当たり前で、コンピューターアニメーションなども利用してわかりやすい説明に必死である。

法廷弁護士だけでなく、様々な書類を作成する弁護士も、将来の紛争を防ぐために過去の判例をデータベースから検索し、法律の解釈をはっきりさせてから書類作成にとりかかる。書類自体の量も日本とは桁違いで、場合によっては積み上げると1メートル近くなるような量の契約書を作成するので、これまたワープロソフトの助けがなければ全く仕事が進まないし、案文に組み込まれた変更を変更履歴という形でファイルに管理して漏れがないようにしている。

私が一緒に仕事をしているアメリカの弁護士達も常にパソコンで電子メールがチェックできるような環境を整えており、交渉や書類作成ともなると数台もパソコンをホテルに運び込み、モデムをセットし、プリンターやらスキャナーやらを接続して、即席でオフィスを作り上げてしまう。

もはやアメリカの法曹界は完全にパソコン依存の装置産業化していると言っても言い過ぎではないようだ。

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