東京砂漠 (July 5, 1997)
今日は暑い....
ネット友達と昼飯を一緒に食べるために自宅から都内に向かう。購入したばかりのオープンカーのルーフトップを調子にのって開けて駐車場を出た。しかし、これが大失敗であることに気が付いたのはわずかに10分後である。
首都高速の入り口までの道はディズニーランドへ向かう車で予想以上に渋滞している。車が前に進まない。雲一つ無い空から太陽の光がジリジリと照り付ける。エアコンをフルパワーできかせているのだが、なんの気休めにもならない。路面で熱せられた風と排気ガスが押し寄せてきた。気分が悪くなりそうだ。
灼熱地獄をなんとか乗り切り待ち合わせの場所についたのが約1時間後、すっかり消耗してしまった。車を止めるとあわててルーフトップを閉めた。
普段はタクシーなどにのって真昼間、炎天下を移動していても、きっちりとエアコンのきいた後部座席に座っているだけなので、一体道路付近の状況がどうなっているのかなんてことには思いも及ばない。しかしルーフトップを開けてオープンの状態で車を走らせると、道路を取り巻く劣悪な環境を肌で感じることができる。実際、道路の状況は想像を絶する。気温は40度近く、ディーゼル車のどす黒い排気ガスが渦を巻き、粉塵が舞い飛ぶ。とてもじゃないが人間が耐えられるようなものではない。
子供の頃読んだSFに未来の世界では大気汚染と紫外線で昼間は外を歩くことが大変危険で、人々は安全のために酸素ボンベと紫外線防止用のバイザーをかぶってしか出歩けないといった話しがあったことを思いだした。幼心には「そんな馬鹿な」と思っていたが、真夏の東京の道路ではこの話しはSFではなく現実のものとなりつつある。
なぜ、こんな状態になっても東京という都市はその肥大と集中のスピードを緩めることがないのだろうか?私もその中に住む一人なので、何も言える立場ではないが、どう考えても狂気の沙汰だ。
高速なネット網が普及することによって東京を逃げ出し、自然の豊かな土地で仕事ができる日が一日も早く来ることを切望する。SFの悲惨な世界が現実になっている街に住み続けたいとは思わない。