フロンティアとしてのネット (July 7, 1997)
今朝の日経新聞にリムネットがメールを利用した電子出版をスタートするという記事が出ていた。
いとうせいこうさんを中心にした試みのようだ。記事の中でいとうせいこうさんとのインタービューが載っていたがなかなか面白い発言があったので引用してみたい。
―著作権問題は。
「確かに問題はある。....あとは多少複製があってもしょうがない。少年ジャンプだって小学生が回し読みしてるけど、実際すごい部数が売れる。要はどれだけ面白いものを作れるかだ。」
デジタル情報は数限りなく複製しても情報は劣化しないという既存の著作権というものを考える根底を揺さぶる特性を有している。そのため、ネットの上の著作権という観念をどう考えていくのかについては様々な議論が展開されていて、法律家である私としても大変興味深い。例えてみれば、西部開拓時代の様な無法地帯でもあり、それと同時にfrontierとしての止めることのできない爆発的発展が起きている場所であり目が離せない。
物を造り出す人の権利を侵害しても良いと主張するつもりは毛頭無いが、ネットの上で創造活動を行っている人達、そしてそれを取り巻くネットの参加者が、いとうさんの様な考え方をできるのであれば、既存の社会的枠組みを打ち破って、本当の意味での情報化社会というものが近づいてくるように思えてならない。