199700710 of Yasushi's Life


電脳自費出版 (July 10, 1997)

リムネットの電子出版の話しを書いたが、これに続くすごい事業がネットの上で始まる。自費出版をインターネットの電子メールで送ってしまおうというものだ。

この商売はアイ・ビー・エスという会社が始めるのだが、原稿をOCRで読み取って電子データに変換し、サーバーに蓄積しておいて、原稿の要約をホームページに掲載しておいて、興味のある人は購入申込みをメールですると、電子メールで原稿の電子データが送られてくるというサービスである。

結構この会社抜け目なくて、電子データへの変換作業は別途編集費用として著者が支払うこととしており、売上の2~3割を手数料として受け取るということだ。極論してしまえば、自費出版物の広告場所を提供して、代金の回収業務をするだけという仕事だ。在庫リスクも抱え込みそうもないし、なかなか面白い商売である。

それよりももっと衝撃的なのは自費出版のコストが劇的に下がるということだろう。今までの本の流通方法であれば在庫も抱えるし、どう考えたって自費出版などは経済的にペイしないというか、むしろ自分で金を出して自分の原稿を何かの記念に本の体裁にするというだけの物であった。

でもそれがほとんどコストのかからない形で実現できれば、今までしり込みしていた人達も割と気軽に「電脳自費出版してみようかなぁ」と思えるようになるだろう。きっと、今まで誰にも見つけだされていなかった才能が花開くといった事が一杯起きてくるに違いない。ネットで才能の地引き網ということだ。

OCRによる読み取りだけでなく、しらさんや伊藤師匠が絶賛しているAdobe Acrobatを使えば、紙に印刷された本と同じようなレイアウト水準の作品をネット上で手軽に誰でも提供することができるだろうし、相当楽しみではある。

買うほうもネット上の人なのだろうから、広告を打たなくても、本当に才能がある人の作品なら口コミならぬメールやHP、あるいはパソコン通信のフォーラムなどのソースを通して人気が広がっていき、ブレイクという事になることも予想される。

誰でも手軽にできるというのは、良いことばかりではなくて、有象無象も増えるわけだから、その中から本当に優れた物を探しだすのはそれなりに苦労になることも事実だろう。とは言え、裾野が広がることは良いことには違いなく、グーテンベルクが活版印刷を発明したのと同じぐらいのインパクトなのではと個人的には思っている。

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