インターネット有価証券報告書 (July 20, 1997)
大蔵省が有価証券報告書をオンラインで提出させるようにし、報告書自体をインターネット上で公開するという方針を決めた。実施は2000年からを目指すということだ。
やっと投資の基本情報である有価証券報告書がデジタル化されるのは大変喜ばしいことだ。今までだと、個人投資家は自分が投資したいと思っている企業の最も基本的なデータである有価証券報告書を見るためには財務局か大蔵省本体へ行くか、政府刊行物を取り扱っている書店で購入するかしなければならなかった。それがインターネットの上で見られるようになる。市場の透明度合いを高めるためにはこんなに良いことはない。
しかしながら、やっと今ごろかぁという見方もできる。米国ではForm 10-Kと呼ばれる企業の基本データがEDGARというSECのシステムによって公開されはじめて久しい。私も仕事柄このシステムには何度もお世話になっている。
日本の有価証券報告書が予定どおり2000年にインターネット上で公開になるとしても7、8年の遅れということになる。ネット利用に関して丁度日本はアメリカから5~10年の遅れをとっているという説を良く聞くが、丁度その通りである。普通に考えるとこの位の年数は大したことがないのかも知れないが、コンピューター技術の進展のスケールから考えれば普通のスタンダードの何十年にも匹敵する時間だ。
もちろん実施されないよりは良いわけなので、あんまり文句は言わないでおきたい。中央省庁を繋ぐWANも構築される方向で話が進んでおり、やっと行政ベースでもコンピューターネットワークが利用されるようになってきたわけだ、その盛り上がりに水をかけることなく是非とも目論み通りに2000年からインターネット上での公開を実施してもらいたい。
さて、ここまでは提出された有価証券報告書をとりまとめる大蔵省に関する話だが、オンライン提出を要求されるようになる企業側はどう対応するのだろうか?
今までデジタル化なんて言葉を聞いたことも見たこともない経理担当者がこのニュースを知って絶望している企業もあるだろうし、やっとオンライン送信が可能になったのか、これで仕事が減るぞと経理担当者が喜んでいる企業もあるだろう。あなたなら、どちらの企業の株に投資しますか?
この日記を書いた翌日7月21日には米国のEdgar onlineが更にそのサービスを向上させることが発表されました。今まではHTMLFormatでのアクセスしかできなかったのですが、ファイリングの内容をMS-Wordでそのままダウンロードできるようなサービスを開始したそうです(もっとも利用契約を結んでいる人向けのサービスですが)。これと同時に検索機能も相当向上されたようです。新しいサービスはEDGAROnline Release 2.0と呼ばれるそうです。詳細はこちらをクリックしてみてください。