199700722 of Yasushi's Life


nasa.com (July 22, 1997)

ドメインネームを巡る争いがアメリカで起きている。

争いの対象となったドメインネームはnasa.comである。これに文句をつけたのはもちろん本家本元のNASA (the National Aeronautic Space Administration)である。NASA側はthe Space Act of 1958という法律に基づいて「政府機関と何らかの関係があると思わせるような方法で略称を使ってはならない」と主張している。特にNASA側を不愉快にさせたのはnasa.comのバナーとして使われている女性の画像だったようだ。火星の画像を探している子供達がこういったものを間違って見てしまうのは許せんということなのだろう。

この抗議を受けて、独占的にドメイン名をDNS (Domain Name Server)で管理するInterNICを運営しているNetworkSolutionsは7月11日にnasa.comというドメイン名を「保留 (on hold)」状態にした。

日本であればこれにて一件落着ということになるのだが、さすが訴訟国家アメリカ、この保留処分を受けたnasa.comのオーナーであるHostNetworksは、Network Solutionsが適法なやり方以外で保留処分を実施したことに対して訴訟を提起すると脅しをかけたのである。この脅しに加えてHostNetworksはAlterNICという別のDNS管理組織にアプローチをかけてインターネットの一部ではnasa.comを復活させてしまった。

今後この争いがどうなるかは見物であるが、このドメインネームという代物、早い者勝ちでメジャーな名前を取りあさって、その権利を高い値段で売り付けるということも現実には起きているようだ。

更に問題を複雑にしているのは、世界各国でドメインネームの法律上の取扱が異なり、ある国では商標で保護されているし、一方で誰でも取り放題という国もあり、世界中で混乱が起きているという点だ。統一的な取扱を決めようと各国が集まって議論をしだしたようだが、既に確立している権利関係を変更する必要があることなどもあり、統一的な取扱が決まることはしばらく無理そうだ。

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