199700731 of Yasushi's Life


Yes, But... (July 31, 1997)

「Yes, Butシンドローム」(ダイヤモンド社)という本を読んだ。

Charles "Chic" ThompsonのThe Top 40 Killer Phrases and How You Can Fight Them.という本の英訳である。内容は創造性とイノベーションに富むやり方を封じ込める動きに対してどうやって戦うかということが面白く書かれている。あなたが素晴らしいアイディアを思い付いてそれを実行しようとする時に同僚や上司が「Yes, But ...」と言ってヤル気をくじき、邪魔することをどうやって乗り越えていくかという具体的方法論だ。

読んでみると思い当たるフレーズが山ほどでてくるので笑ってしまう。いくつか例を挙げてみよう。

「それはもう前にやってみたよ」
「そんなことをしたら競争に負けてしまう」
「君は若すぎる」
「そのとおりだ、しかし・・・」
「みんな忙しくてそれどころじゃない」
「費用がかさむ」
「とてもできないことだ」
「もう一度言ったら堪忍袋の緒が切れるぞ」
「われわれにはそんな権限はない」
「それは会社の方針に反する」
「システムにさからってはいけない」
「経営陣は一か八かやってみたりしないはずだ」
「これまでのところうまくいってるよ」
「機能しているものを守ろうじゃないか」
「それは変化のための変化にすぎない」
「そんなことはやったことがない」
「それは急進的すぎる」
「現実に戻ろうじゃないか」
「もうちょっと経験を積むことだ」
「古い世代が引退するのをまとうじゃないか」
「それはうちのやり方にはあわない」
「言うだけならなんとでも言えるさ」
「ふざけるな、まじめになれ」
「危険を冒すのは他のものにやらせておけばいい」
「ルートを通して話をもってきてくれ」
「世界を変えるのがわれわれの目的ではない」
「それは規則に無い」
「そういうことをやろうとした人を知っているよ」

もし、このフレーズを同僚や上司から一度も言われたことが無い人がいたら、あなたは新しいアイディアを生み出そうとして仕事をしたことが無い人か、もしくはとてつもなくCreative & Innovativeな会社で働いているかのどちらかだろう。

肥大化した組織では、血管に付着して動脈硬化を引き起こすコレステロールのように既存の権益を守ろうとする人々を生み出す。

時代を取り巻くスピードが遅い時代であれば、組織が動脈硬化を来していようが何とか対応することができただろう。しかし、情報のデジタル化により疾走する時代の流れの中では今まで通りにはいかない。上で挙げたkiller phrasesを繰り返し、今まで自分が持っていたものを守ろうとする人々を切り捨て、常にしなやかに疾走することができる人材あるいは組織だけが生き残れる時代が到来している。

時代のブレイクスルーは過去の経験の創造的破壊から生み出される。自分が築き上げてきたものを目の前で破壊されることは誰にとっても心地よいことではない。しかし、それを受入れ、更に新しいものを築いていく努力を続ける人にだけ未来がある。
 

「・・・自動車は目新しいというだけで、一時的な流行だよ」

ミシガン貯蓄銀行の頭取が、フォード社に投資しようとする同僚に対して述べた発言

自動車産業全盛の今、この頭取は墓の中でどう感じているだろうか。

銀行は一般に最も保守的な業界と呼ばれる。しかし、日本版ビッグバンを目前に控え、既に国際的競争の中で一歩も二歩も先を走っている取引先企業に創造性、革新性の面において追いついていかなければ金融機関として生き残っていくことは不可能だ。業務提携、組織改革など様々な対応策が新聞紙上を賑わしているのは事実だ。組織論も重要であろう、しかし本当に重要なことは組織を構成する一人一人が創造的破壊をおそれないマインドを持つことなのだと感じる今日このごろである。

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