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衆愚


言いたい放題の更新がほぼ1週間とまっていた。出張のあおりを受けて、たまっていた仕事を終わらせるのに毎晩深夜まで職場で働く日々が続き更新する元気が出なかった。

しかし、実のところ仕事の忙しさ以外に更新をさぼってしまった理由が無い訳ではない。正直なところここ10日ばかり世の中の動きを見ていてほとほと日本人なるものに絶望した。もちろん自分もその一人であるのだが、自分がその一人であることにすら嫌悪を感じる。

かつて留学して帰国した際に一つのアドバイスを得た。「日本人は・・・」という発言は控えたほうが良いと。「君も日本人なのだ。だから、自分が日本人とは別な存在であるかのごとくに発言することは反感を買う。この留学かぶれが、あるいはアメリカかぶれがと思われるのが関の山だ。」と。このアドバイスには従ってきたつもりでいたが、もうそうするつもりもない。

問題に直面した際に2つの反応がある。1つは直面した問題を解決し、それを乗り越えようと積極的に取り組む対応。もう1つは、問題の責任の所在を誰かに求め、自分は被害者であるということを主張し、何もしない対応。

今日本は大きな問題に直面している。財政赤字、金融システム不安、景気低迷、政治腐敗、行政腐敗、少年犯罪増加。そして世間で行われているのは犯人探しと言う名の魔女狩りである。誰もが魔女狩りに巻き込まれないように姿勢を低くし、嵐が過ぎ去るのを待っている。もちろんどこに問題が所在するかを真剣に議論することを否定するものではない。しかしながら「誰が悪いか」に終始することは全く無意味である。「何がどう悪いのか、そしてそれをどのように改めるべきなのか」が本来あるべき議論なのである。今の魔女狩りの嵐は本来行われるべき議論まで奪ってしまっている。

政治家による株取引疑惑は新井代議士の自殺で論点がぼやけてしまった。官僚の腐敗についても今のところ大騒ぎしてMOFノンキャリが2人逮捕されただけだ。金融機関の経営の刷新についても、従来の横並び方式から何も変わることの無い横並び方式による思考中断したリストラ策(なるもの)が発表されて終わりである。これほどの問題に直面した結果としては情けない限りである。これでは何の解決にもなっていない。

マスコミは政治家、高級官僚、高給取り銀行員という架空のスケープゴードを作り出し、それを叩き、下衆な好奇心を煽っている。政治家は自らの立場を守るために、自分以外の犯人をでっち上げることに精一杯で、全くイニシィアティブが取っていない。諸外国からは愚か者扱いをされているのに日本のマスコミはそんなことすらもまともに報道ができない。一方で官僚組織や銀行は何も失っていない。騒ぎが大きければ大きいほど真実は紛れる。静かに潜航し、既存の権益をしっかりと守っている。それが理解できない人々はスケープゴートがたたかれる様を見て溜飲を下げる。これを衆愚と言わずして何と言おう。

日本人は、規制すること、叱ること、罰すること、他人の不幸を喜ぶことが好みのようだ。しかし、こういったことからは何も生み出されない。放任すること、誉めること、人の成功を喜ぶによって新しいものを生み出し、前へ進んでいくことがなぜできないのだろうか?