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始発


ひさしぶりに翌日は休みなので、友人と食事にでかけた。

飯田橋のマックの前で落ち合い、大仙のおかゆを食べ元気になったところで、ビリーバリューズビアバーで呑む。ビリーバリューズは半年ぶりくらいで、マスターからは「木下さん、やっぱ金融大変なんっすか?」と聞かれて、思わず笑ってごまかしてしまった。

一緒だった友人は小学校からの幼なじみでフリーのナレーターをしている。放送局のアナウンサーを何年か前に辞め、今はフリーのナレーターだ。当初は事務所に所属していたのだが、そこも辞め、完全なフリーになってから3年目で、なんとか食って行けるようになってすこし家賃の高いところに引っ越したとたんに不景気でレギュラーの仕事が減ったと笑っている。景気の後退はいろいろなところに現れてきている。

ちょくちょく電話では話をするので暮らし振りはわかっているのだが、実際に会って、自分のしたいことをしているのだからと元気に毎日を過ごしていると言っているのを目にするとほっとする。確かに、事務所を辞めたころに比べれば表情もやわらかになっていることに気がつく。それでは自分はどうなんだと問いかけてみるが、世間以上の給料はもらっているが、やりたいことをして幸せだと自信を持って言えない自分がなさけなくなる。

呑みつづけているうちにふと気がつくと1時。終電の時間はとっくに過ぎてしまった。まあいいや、外は雨だからと呑みつづける。12時過ぎに6人の集団が現れ送別会のパーティーを横で始める。しかしこんな時間から送別会をはじめるなんてどういう集団なんだろう?結局朝4時過ぎまでビリーバリューズにいたのだろうか。

酔い覚ましに近くのデニーズへ行き、コーヒーを飲んで始発が動き始めるのを待つ。店の中では何人もの疲れたサラリーマンがテーブルに突っ伏して寝ている。後ろの席のおばさんは朝4時のデニーズでNHKのフランス語会話のテキストを見ながら一心不乱にフランス語でノートに書き込みをしている。朝のデニーズはとってもシュールだ。

5時になったので駅に向かうと、雨は上がり、空はうっすらと明け始めていた。「それじゃぁ」と友人と別れ、地下鉄で家へと向かった。夜通し呑むなんていったい何年振りだったのだろうか。たまにはこういうのも悪くない。