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報告書


山一證券の自主廃業に至る経緯をまとめた社内調査委員会の報告書が公表された。

その報告書が伝える内容はまるで安手の企業小説を読んでいるかのごとき内容である。偽りの上塗りをして損失を隠し通そうとする経営陣、見事なまでの無責任振りを披露する大蔵省証券局、何も知らされずに不安に慄く従業員、ことごとく失敗する提携交渉、情け容赦なく資金の流れを止める資本市場。そのままドラマの台本といわれても違和感は覚えない。しかし、それは現実に起こった数千人の従業員を巻き込む巨大な破綻劇の記録であったのだ。

これが4大証券の一角を占めていた証券会社の経営の実態であったのかと思うと暗澹たる気持ちになる。他の日本の金融機関の経営陣が山一証券と違うという保証はどこにもない。むしろ同じであると考えるほうが自然であろう。なぜなら、山一の経営陣が志向したように行政当局とのつながりが全てであり、問題を隠し通そうとするといった姿勢は日本の金融機関に共通する姿勢であるからだ。

今も全く同じような破綻へ向けての転げ坂を下り落ちている金融機関が存在しないと誰が言い切れようか?資本市場の参加者は日本の金融機関の経営者を全く信用していない。これが日本の金融システム不安の根元である。

狼少年はそれまでの嘘のせいで最後に狼に直面したときに誰からも信用されず、命を落とした。日本の金融システムが狼少年と同じ結末を辿らないようにするためには、今まで嘘をつきつづけてきた経営陣全てが身を退き、それぞれの金融機関がまったく新しい組織として生まれ変わること以外に方法はないだろう。