弁護士ビジネス
May 31, 1999
以前から親しくしていた弁護士の先生が3年ぶりにシンガポールから帰国したので夕飯を食べに出かける。
食事をしがてらした話は、アメリカ人投資家から見た日本のLegalならびにAccounting Professionalのことである。ごぞんじの通り、アメリカでは弁護士も会計士も、言葉は悪いが、掃いて捨てるほどいる。どの事務所も巨大化し、何百人もの弁護士や会計士を抱え、言うならば一つの巨大企業として存在している。それに引き換え、日本の弁護士事務所は最大手でも70人程度。会計士も、規制の関係から監査法人とそれ以外の業務は別法人で対応している。
最近話題となっている不動産の証券化などの仕事は正直なところ莫大な量の契約書作成や法的分析、財務・税務上の仕組み作りが必要とされる。先日私が加わった取引では、決済直前になってくると30人近い日米の弁護士や会計士が集まって、何時間にも及ぶ契約書作成のミーティングを行うし、契約書の物理的な分量があまりに膨大なので、調印用書類の準備に何時間もかかるので、調印直前までの交渉などはとてもできないといった有り様である。
これがたった一つの取引の話であるのだ。証券化が十分な市場となるためには一体どの位こういった取引がなされることになるのだろうか。考えただけでも莫大な量だ。では、それをaccomodateする弁護士が日本には十分にいるのだろうか?こういった取引の交渉はほとんど英語で行われる。英語で交渉ができ、金融の知識を兼ね備えた弁護士が日本にいったい何人いるのだろう。せいぜい100人いるかいないかではないか?
海外の投資家が一番求めるのは法的な安定性である。中国に投資するのが怖いといわれる所以は、法律がほいほい変ってしまったりするからなのだ。だから海外投資家は自分達が安心できるような契約書を作りたがるし、それができないところへの投資には消極的になる。
今、多くの外資系資金が日本に投資されようとしているが、こういった法的な安定性を支えるインフラとしての弁護士の絶対的な数の不足が大きな心配事としてクローズアップされているように思う。