やさしい社会
July 10, 1998
帰宅してテレビを見ると、この週末に行われる参議院選挙の特集をやっていた。
ますます下がっていく投票率を引き上げるために、今回の選挙から投票時間の延長と不在者投票の条件緩和がされた。不在者投票は既に全有権者の5%に相当する人が行っているということだし、やっと多くの人が投票を棄権するということの重大さに気が付いたようだ。
その特集で身体の不自由な方や高齢の方がなかなか選挙に行けないという話が出ていた。私は知らなかったのだが、介護施設にいらっしゃる方はその施設から投票をすることができるそうなのだが、自宅療養をされている方は自宅からは投票できない。日曜日ということもあって介護ヘルパーなどの方もなかなか手伝うことができないので、どうしても在宅ケアの方々は投票が難しいということだ。また、高齢で足腰が弱っている方が、投票所の出入り口の段差が大きくて不安なので投票にはいかないと話されている姿も報じられていた。
選挙権は国民の権利である。いわゆる弱者と呼ばれる人達が、選挙システムの運営方法の結果、自らの権利を行使できないというのはまったくおかしい話である。彼らの声が門前払いされているというのはどうにも納得がいかない。たとえどれだけのコストをかけようとも、国民の全てが何のためらいもなく投票に参加できるシステムが確立されること望みたい。
大企業と密着した政官界が高度成長を目指し、そのためには社会的弱者は押しのけられるという単一的な価値観に支配されたパラダイムは今の日本ではすでに崩壊しつつある。高齢化社会に向けて突き進んでいる日本の社会はもっとやさしい社会になっていく必要があると思う。
やさしい社会とは決して甘えた社会のことではない。世の中にはさまざまな立場の人達がいるという多様性をお互いに認め合い、一生懸命生きる努力をする人が公平なチャンスを与えられる世の中のことである。そんな世の中なんてあるものかと言う人はいるだろう。しかし、最初から諦めていてはできることもできなくなってしまう。
世の中景気が悪くなると、世知辛くなってきて他人様にかまっている余裕がなくなってしまう。しかし、そんな時代だからこそ世の中の仕組みを変え、人にやさしい社会を目指すことで、日本は新たなる発展をめざすべきなのだと思う。