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HTMLの糸


リンクからリンクをたどり、ネットサーフをしていたときのことである。

偶然にとある女性の日記のページにたどりついた。彼女は22歳。去年ネットで知り合った38歳の旦那さんと結婚したばかり。彼女は幼少の頃のトラウマで薬物中毒になりかけ、体調を崩し、そして躁鬱病にかかっている。眠れぬ日々が続き、幾度となく手首を切り自殺を図り、睡眠薬を多量に摂取したりする。そういう日々をネットで日記として公開している。

Page0からはじまりPage45まで続いた日記。私は一気に読み終えた。生きることの辛さ、自分の存在の意味を問う日記。彼女の言葉はまるで抜き身の短剣のようだ。それも血がしたたるような切れ味の。

そして、ふとメインページにもどって見ると、そこには黒枠で囲まれた彼女の大きな画像と「訃報」という文字。なぜか全てが終わったかのごとくに綴られていた最後のページが、ご主人の代理アップであった理由がわかった。そう、彼女はもうこの世を去っていたのだ。ご主人が書かれた訃報によると、検視による死因は薬物摂取によるものだったそうだ。今年7月4日に彼女は逝った。

私は言葉も無く、画面の前で凍り付いた。まるで、以前から知っている彼女の死を突如知らされたかのごとくに。

彼女の日記の中には「******(彼女の名前)死ス共知ル人ノ心ニ生キ残ル」という一節があった。彼女がこの世とのつながりを求めて、インターネットの闇にはなったHTMLの糸は、今もWEBの海で輝く。そして、まるで彼女が生きているかのように、立ち寄る人の心を揺さ振りつづける。

日記猿人のページを覗くと、そこには無数の日記のページが現れる。その一つ一つが人生の縮図。まるで夜景をながめる時に、灯り一つ一つに暮らしがあることを感じるかのように。

インターネットはVirtualな世界だと人は言う。そして、私にはそれが戯言だと感じられる。