不動産市場
December 16, 1998
仕事で銀座にでかける。
待ち合わせの時間まで若干余裕があったのでしばらくあたりをぶらぶらと歩きまわる。不動産に投資をする仕事をしている関係上、つい周りのビルに目が行く。
中央通りや晴海通りなどの大通りに面したビルはとてもきれいだが、一本裏側にはいると数多くの雑居ビルが目に付く。もう何年も手を加えていないためにボロボロになっているビルがあったり、建築予定が中断されたのか更地のまま放置されている土地があったりと、バブル崩壊以後の不動産市況の厳しさを如実に表わす姿が見える。
今、日本の社会が必要としていることは不動産に対する考え方の大きな変革だと思う。
戦後の住宅供給をまかなうためにテナントを過剰なまでに保護する法制度と、人々の土地に対する思い入れは、日本の不動産市場を自滅に追いやっている。残念ながら土地価格が永遠に右上がりとなるパラダイムは終焉したのだ。しかし、それを理解しない人々は土地や既得権益にしがみつき、それゆえに自らが保有する権利の価値を下落させている。
もはやキャピタルゲインを前提にした不動産価格などはありえない。不動産の持つ利用価値、すなわち生産性のみを反映した価格形成が行われなくてはならないのである。もちろんのこと、これは一部の不動産に大幅な価値下落を引き起こし、場合によっては保有コストが賄えなく、売りに出される物件も出てくるであろう。
しかし、このプロセスを通過しなければ不動産市場の回復は望めない。底を打たない限り相場には反転はありえない。銀座から崩れ掛けの雑居ビルや狭い更地が無くなるときに日本の不動産市場の近代化は完了するのだろう。